網膜剥離には、大きく分けて2通りの治し方(手術法)があります。

網膜剥離の病態により、選択されるべき2つの手術法。簡単に言うと…若年発症の網膜剥離は網膜復位術。高齢者の網膜剥離は硝子体手術が選択される。もちろん例外はあるが、だいたいはその判断で間違いは無い事が多いです。たまたま、患者様の年齢や眼を総合的に診て判断すると私自身硝子体手術を選択する事の方が多くなってきた気が…。

でも今回は…網膜復位術(バックリングオペ)についてお話しします。

私が、網膜剥離手術を始めたきっかけは…白内障手術が一人前になりかけた頃に、次はバックリング手術を一人前にできるようになりたいという動機がきっかけでした。眼底チャートを術前に完璧に書き、手術をイメージどうりに完遂する。眼科手術の中でも…よりダイナミックで一般の外科的手術に近く、その特徴が色濃く出る術式かと個人的には思っています。それは…外眼筋(眼球を動かす筋肉)を露出し触る事だったり、助手との連携が一番手術時間に影響する術式かと思うからです。だから…私は好きです。

網膜剥離を、眼外から治すのですが…原因裂孔に冷凍凝固をし、網膜下液を強膜側からカットダウンし排出、そして裂孔部分の硝子体牽引の軽減目的にバックル設置をします。一番肝を冷やす瞬間は、カットダウンの時で、私の心拍も一番上昇する時です。脈絡膜からの出血が網膜下にまわる可能がある処置だからです。網膜下液が抜ければ天国。下液が抜けず出血が生じれば地獄になりかねません。

先日も、40代前半の網膜剥離患者様のバックリング手術を施行しました。イメージどうりに手術を完遂でき、翌日には、ほぼ完治に向かう明るいイメージが診てとれました。開院から、忘れた頃に定期的に若年発症の網膜剥離の患者様が受診されます。私の原点である網膜復位術…気合いが入るのと同時に変なプレッシャーはかかります。本音は、硝子体手術の方が腰が痛くならず術者は楽、手術時間も割りかし読める(早い)ので選択比率は自然と上がります。

しかし…術後の患者様の負担は明らかに復位術の方が楽(術後体位制限がほぼ無し)なので…どちらの術式でも可能と判断した場合は、網膜復位術を積極的に選択できる自分で居続けたいと思います。

網膜剥離は、1万人に1人の発症率で決して多くはありませんが…放置すれば失明しますが、初回復位率9割と言われている病態です。

当院では、網膜復位術と硝子体手術の両術式を選択しています。一緒に、この病気に立ち向かいましょう!

下之城眼科クリニック